7/26/2009
今日は先週の日曜日に引き続いて天候は雨の予報。しかし高原温泉付近は午前中は雨は降らないようなので、自宅を午前2時20分に出発しました。道中は小雨が降ったり止んだりでしたが、現地に着いたら雨は止んでいて時折日が差すくらいでした。これなら何とかなりそうと思って高原温泉の沼めぐりをすることにしました。
地図はこちら。
高原温泉は表大雪の緑岳の麓にあって宿泊施設もあります。駐車場はとても広くて、奥の方では至る所から噴気が立ち上っていて、このように泥状の熱水が湧き出している所もありました。
ここでの初めの見ものは地熱のある湿った所に咲くオトギリソウ科ダイセツヒナオトギリです。草丈3〜8cmほどの多年草です。
花の直径は7〜10mmくらいで、花弁は5枚見られます。
側面観です。花期は6月中旬〜8月上旬と長めです。
葉は長さ10mmほどの倒卵形でこのように赤くなっている事が多いようです。
ラン科ネジバナがもう咲き始めていました。
花は今まで見た中では一番大きい感じがしました。
沼めぐりをするにはこのヒグマ情報センターで入山届を出して当日のヒグマの様子や入山にあたっての注意事項をセンターの方から聞いてからでないと行けません。入山は午前7時から午後1時までに限定されていて、午後3時までに下山しなくてはなりません。
沼めぐりは左回りの一周6.1kmのコースですが、ヒグマの出没状況によっては途中までしか行けません。
今日は高原沼まで行けるようでした。
本日最初の入山です。熊よけの鈴を鳴らして、数分おきに熊よけの笛を吹いて行きます。
登山道は概ね緩やかな登りです。
草丈30cmほどのラン科ミヤマチドリです。
花序の部分。
距は短くて3mmほどでした。
花弁が6枚のミヤマキンポウゲ。
大きな沢には橋がかけられていました。
湿った所に咲くオオバミゾホオズキがたくさん見られました。
ミズバショウの大群落。ヒグマはミズバショウの葉も食べるようで、かなり下の方まで下りてきて食べているようでした。
蚊がものすごく多かったです。虫除けスプレーも必須です。
土俵沼に着きました。
草丈15cmほどのずいぶんたくさんの花を付けたエゾコザクラです。
ミズバショウが多かったバショウ沼です。
エゾコザクラのちょっとした群生。
滝見沼です。滝が見えるのかも知れませんがよくわかりませんでした。
紅葉の時にはひときわきれいになる緑沼です。ここまで約1時間です。
渡渉地点もあります。登山道は湿っていて所々沢のようになっている所もあるので靴は長靴の方が良いと思います。
高原温泉の山荘で600円でレンタルしているようです。
沢の水の音が大きい所では熊よけの笛を用心のため大きく鳴らして行きます。
湯ノ沼に到着。硫黄の臭いがしていました。
鴨沼という沼です。
高根ヶ原が見えてきました。
エゾ沼では登山道が完全に水没していました。
エゾ沼に到着。
雪渓が見られる高根ヶ原が大きく覆い被さるように立ちはだかっています。
式部沼です。
ここで本日の主人公の登場です。草丈4cmほどの小さなスミレ科タニマスミレです。氷河期からの生き残り。北海道でも分布は局所的な貴重なスミレです。
花弁の色が何とも言えない不思議な魅力を醸し出しています。
3株開花していて、2株は蕾でした。
花は直径10mmほどと小さく、側花弁には毛が生えています。唇弁には濃い紫色のすじが見られます。出会えて本当に良かったです。
距は太く、長さ3mmほどで紫色の斑点が見られました。花柄は無毛です。
別の株です。
少しうつむきぎみに咲いていました。
側面観。
よく見ると花柱の先端がカマキリの頭のようにふくらんでいました。
葉は心形で軟らかく、無毛で葉脈が目立ちます。
バラ科ミヤマキンバイです。
ちょっとわかりづらいですが、体長7cmほどのエゾアカガエルがいました。
このような過酷な条件の地にも生命がしっかり宿っています。
大学沼という沼です。まだ大部分が雪で覆われていました。
大学沼からほどなく高原沼まで来ました。今日はここで折り返すようになりました。
大学沼ではヒグマ情報センターの方が監視されていて、もう少し上まで行けるがどうするかと尋ねられたのでぜひ行きたいと伝え同行していただく事になりました。上部では別のセンターの方が双眼鏡で監視されていて、聞く所によるとこの画の上の細い雪渓の下の茂みにヒグマが入ったとの事。直線距離にして800mくらい。
しばらく様子を見てみましたが、残念ながら見る事はできませんでした。
平ヶ岳付近の様子が間近に見られました。
帰りにもう一度緑沼の様子を見てみました。
往路ではまだ開きかけだったチングルマがちょうどよい具合に咲いていました。
沼めぐりを終えて下山したのが午前11時と早かったので、帰り道の途中で浮島湿原に寄り道しました。
トキソウが盛りを迎えていました。
ヒツジグサもたくさん咲いていました。
これがちょっと気になっていた草です。ラン科のヤマサギソウではないかと思います。草丈30cmほど。
花序の部分です。長さ12cmほど。
花の感じはキソチドリに似ていますが、花数がやや多く、長さ2cmほどの距が下方に彎曲しています。
基部の葉の様子。
茎にははっきりした稜が見られました。
こちらは同じくラン科のコバノトンボソウです。以前にも見ていますが背景に紛れて不鮮明な画しか撮っていなかったので撮り直してみました。
草丈35cmほど。
花序の部分。細く長い距が印象的です。
拡大して見た所。
霧がかかってきてまた違った表情を見せてくれました。この後天気予報どおり雨が降ってきました。
中央部を拡大した所。側花弁の毛と花柱の様子がよくわかります。