8/8/2010
今日はまたまた天気予報では雨だそうでしたが、ピンポイント予報では何とかなりそうだったので午前0時30分に雨の降る中自宅を出発しました。目的地は東大雪の主峰、標高2012.7mのニペソツ山です。
自宅から道央道を北上して比布ジャンクションから旭川紋別自動車道を上川層雲峡ICまで行き、その後は国道39号線、国道273号線を通って十勝三股にある林道の案内板から登山口へと向かいます。午前3時40分過ぎに現地到着。天候はあいにくの雨。身支度を整え、午前5時雨が小降りになったところで出発です。
入山届を書いて歩き始めるとすぐに十六の沢を渡るようになります。ここは大きな丸太が渡されているだけなので滑らないように慎重に渡って行きます。
沢を渡って右に進むとこのような案内板があります。ここから2時間ほど見通しのきかない林の中を登っていきます。
最初のちょっとした急登が終わると比較的なだらかな登りになります。
今日はラン科アリドオシランのお出迎えを受けました。
登って行くうちに雨も止んで、朝日が差し込んできました。これなら何とかなりそうかなと思いました。
ラン科エゾスズランが満開でした。
地味だけれど季節の移ろいを感じさせてくれます。
斜度がしだいにきつくなってきます。
イチヤクソウ科ギンリョウソウがまだ残っていました。
高度が上がってくるとしだいに木々がまばらになってきます。
登山道は笹刈りされていないので雨でぬれた笹をかきわけながら進んでいきます。
登っていくと突如目の前に大きな岩場が現れました。
このコースでちょっと気をつけないといけない所です。
わずかな岩のステップに足を乗せて大岩をぐるりと回りこみます。下は崖。滑ったらけがではすみません。
無事大岩まわりが過ぎると登山道は一度やや平坦になります。
草丈30cmほどのエゾウサギギクがたくさん見られました。
この裸地が天狗のコルと呼ばれる所です。
雄しべが伸び始めたウメバチソウがたくさんありました。白い葯はすぐに落ちてしまうようです。
オトギリソウ科ハイオトギリも多数見られました。雄しべが線香花火のようです。
ラン科ホソバノキソチドリも見ごろでした。草丈30cmほど。
数個〜十数個の花が花序を形成します。開花するにつれて花が180度ねじれる様子が距の状態からわかります。花序上部のまだ蕾のものは距が上向きに彎曲していますが、下部に向かうにつれて次第に下向きに彎曲するようになっています。
上部の背がく片と左右の側花弁が合わさり、側がく片が左右に伸びて、唇弁が下方に突き出します。何だかクリオネみたいに見えてきます。
ツツジ科クロウスゴの実が熟し始めていました。直径1cmほど。甘酸っぱい味がします。
登山道の斜度がさらにきつくなって岩がちになり、ナナカマドなどの小低木で覆われるようになってきました。
岩だらけの登山道を登っていくと、このような案内板があって道が左に直角に曲がっていました。今ではこのような案内板もあり、ロープが張られているので間違う事はないと思いますが以前は下山時に直進してしまう事もあったようです。
さらに登っていくとガスが濃くなってきてしまったので山頂へ向かうのをあきらめました。ここは前天狗と呼ばれる小さなピークをトラバースする所です。この先まで行くと主峰が見えるはずだったのですが残念です。
上部の岩場で見られたイワブクロはピークを過ぎた感じでした。
何でわざわざこんな天気の日にニペソツ山を狙ったのかと思われるかもしれませんが、目的はこの花を見るためだったのです。草丈5〜10cmほどのラン科ミヤマフタバランという小型のランです。
花は長さ7mmほどと小さく、唇弁が茶色っぽかったです。唇弁は通常2裂します。
側面から見た所です。
別の株の側面観です。ふかふかした苔の中に生えていました。
正面観です。唇弁基部左右に小さな突起が見られます。花柱は黄色味を帯びていました。細い側花弁が左右に飛び出していました。
側面観です。3つあるがく片は後方へ強く反り返っていました。
唇弁基部の突起と花柱の様子もわかります。
2株並んで咲いていました。
こちらは花の色が緑色のもののちょっとした群落です。
唇弁が茶色いものより草丈が全般的に低い感じでした。
角度を少し変えて見てみました。
唇弁は2裂し、基部の小突起がはっきりしています。
全体に薄緑色っぽい感じです。
横から見るとこんな感じです。
前方に伸びた唇弁の様子がわかります。
別の株です。
葉は一辺が10〜20mmほどのややふくらんだ正三角形に近い形をしたものが茎の基部に2枚が向かい合って付いていました。やや光沢があります。
この個体の唇弁は分かれ方が通常とは異なっていました。
唇弁が2つあったもの。
拡大してみると構造がよくわかります。3つあるがく片も見られます。
こちらは3株並んで咲いていました。
蕾が一つ、開花しているものが2つ。がく片には筋が入っているようでした。
正面観です。後ろに反り返った背がく片が少し見えています。
小さなランなので見つけられるかどうか心配でしたが出会うことが出来て本当に良かったです。
花は小さいですがよく見てみると面白い構造になっています。
この株は薄茶色でした。
側面観です。後ろに反り返っているがく片の様子がわかります。(一番下の花)
茎には細かい毛が生えていました。
下山途中で薄日が差してきたのでミヤマリンドウが花姿を見せてくれました。
これは帰路で見つけたオトギリソウ科トモエソウです。ちょっとした群落を作っていました。
今日は山頂まで行けませんでしたが次回は天気の良い時に登ってみたいです。