6/9〜11/2014
今回は6月9,10,11日に休暇を取って、実に36年ぶりとなる礼文島再訪が実現しました。36年前の時にはキャンプと釣りが目的で、花の事はあまり調べずにいたので、後になって見ておけばよかったと後悔していました。8日日曜日に稚内入りして一泊し、9日午前6時20分発のフェリーで礼文島に渡りました。3月に宿の手配をした時にはもうすでに満室に近くてびっくりしました。それから毎日天候の事が気がかりでしたが、何とかなってほっとしました。この時期の礼文島と言えばやはりこの花抜きには語れないでしょう。まずはレブンアツモリソウ群生地に行ってみました。
礼文島の花の情報はインターネットでライブでわかるようになっていて、5月末に気温が高い日が続いたのでレブンアツモリソウの開花が早まり、傷み始めたものもあると知って心配でしたが、現地に行ってみるとまだフレッシュな花がたくさんあってうれしくなりました。
淡いクリーム色の花が何とも素敵です。長い事待ち焦がれていた花に出会う事ができました。お天気が良かったのは奇跡的だったかもしれません。
斜め上から見た所です。品種としてはホテイアツモリの白花という事になるようです。麗人を目の前にして、言葉がありませんでした。
2株並んで。草丈は30〜40cmくらいでした。
唇弁が細長い個体です。
となりのマイヅルソウと比較すると大きさがわかるかと思います。
側面観です。
開き始めの群落です。
群生地には木道が渡されていて間近に観察する事ができます。
花の色が白っぽい群落です。
正面観です。
側面観です。
一株ぽつりと離れて咲いていました。
唇弁の形がかわいらしいです。
このように群生している所もありました。ここではレブンアツモリソウの他にノビネチドリ、ハクサンチドリ、クゲヌマランなどのランも見られました。
向かい合わせになって咲いていました。
悲願が達成できて、しばし見入っていました。至福のひとときを過ごす事ができました。
ここからは管理された群生地ではない所のレブンアツモリソウの様子です。車道からかなり離れた小高い丘の中腹で見られたレブンアツモリソウです。昔は島内全域でこのような姿が見られたのだそうです。子供たちが唇弁をつぶして遊んでいたのだとか、、、
藪の中に一株咲いていました。
レブンアツモリソウを語る上で欠かせないのがこのゴマノハグサ科ネムロシオガマです。根室では少ししか見られなかったのに、礼文島ではあちこちでたくさん見られました。レブンアツモリソウは蜜を出さないそうで、ではなぜ受粉できるかと言うと、ネムロシオガマが出す蜜にやってきたニセハイイロマルハナバチが騙されてレブンアツモリソウにも来るからだと言われています。
花序のクローズアップです。花がねじれて付いています。
別の群落です。
まだ咲き始めのようです。
上から見てみると花がらせん状に付いているのがわかります。
ベンケイソウ科イワベンケイもあちこちで見られました。
レブンアツモリソウ群生地から歩いて澄海岬までやってきました。
やや濃い紫色のハクサンチドリがたくさん咲いていました。
花序の部分です。
標高の高い所で通常見られるミヤマオダマキも海岸線沿いの所からあちこちで見られました。
アブラナ科ハマハタザオもたくさん咲いていました。
またネムロシオガマの登場です。
下唇が3裂しています。
再びレブンアツモリソウです。遠来の客を出迎えてくれました。なかなか良い感じです。
3株並んで咲いていました。
まだ開きかけのものも見られました。
チシマフウロもあちこちでまるで雑草のように咲いていました。
エゾイヌナズナも見られました。
花序の部分です。
澄海岬から北上してゴロタ岬まで行き、江戸屋山道に出てスコトン岬まで行きました。今日はくもりで遠望はなしでした。
スコトン岬からは8kmほど歩いて船泊まで戻る事にしました。岩場ではあちこちでレブンコザクラが見られました。
なかなかかわいらしい姿です。
レブンコザクラはユキワリコザクラの変種なのだそうです。
ちょっと色が薄い株が2つ並んで咲いていました。
このような崖がお花畑になっていました。白いものはネムロシオガマで、青いものはミヤマオダマキです。
またまたネムロシオガマですが、この株の花は離れていて、花弁の様子がわかりやすかったです。
花序の部分です。
かぎ形に曲がった上唇の様子がよくわかります。
下唇がきれいに開いていました。
羽状に深く切れ込んだ葉の様子です。
ここで本日の2つ目の主役の登場です。ホテイアツモリとされているものです。4株開花していて、1株は蕾でした。今日この日を選んだのはレブンアツモリソウとこのホテイアツモリが見たかったからです。咲いていて良かった!!!
以前に見ていたホテイアツモリとは若干雰囲気が異なるような気もしないではないですが、、、
ちょうど上手い具合に撮影しやすい方向へ向かって咲いていました。
側面観です。この花の写真を撮っていたら年配の方に声をかけられ、花談義をして、いろいろ情報をお話し、名刺をいただいてびっくり!学部は違いますが、ネット上で植物図鑑を公開されている大学の大先輩の方でした。何でもこの花を見るためだけに日帰りで来られたのだそうです。
側花弁が手をついたように曲がっていて愛嬌があります。
花のアップです。
正面観です。個体数はこちらの方がレブンアツモリソウよりはるかに少ないです。
この地のホテイアツモリは休眠する事があるそうで、開花状態のものを見ることができて大満足して一日目が終わりました。この後、宿に戻ってシャワーを浴びて汗を流し夕食をとりました。メニューは生ウニ、刺身、つぶとぼたん海老のシーフードサラダ、イカの沖漬け、白和え、ウニの茶碗蒸、毛がに、八目のから揚げ、香の物、お吸い物、ご飯、デザートはチーズケーキでした。素敵な一日を過ごせて、さらに満腹となり、寝る前に温泉につかって今日の疲れを癒しました。
温泉につかってぐっすり寝て2日目の朝を迎えました。未明まで小雨が降っていたのですが日の出と共に止み、まずまずの散策日和となりました。
とりあえず大きなノビネチドリにご挨拶です。
花序の部分です。
チシマフウロとならんで白花のノビネチドリが見られました。
白花の花柄は緑色でした。
ここで2日目にどうしても見たかったマメ科レブンソウに出会う事ができました。草丈10cmほど。
旗弁が大きくて長さ18mmほどでした。
咲き始めのものです。
旗弁基部にはすじが見られました。出会えてよかった!
葉はこのように奇数羽状複葉で白い毛が目立ちます。
トクサが密生している所でサクラソウモドキが咲いていました。
以前に見ていたサクラソウモドキよりちょっと大きいような感じでした。
ミヤマキンポウゲもあちこちで見られました。
ここでカラフトハナシノブの登場です。
花冠は5裂して、裂片の先端はとがりません。
葉の様子です。奇数羽状複葉です。
元地灯台です。このあたりから日差しがかなり強くなって日焼けしました。
またカラフトハナシノブです。
花冠の直径は30mmほど。
サクラソウモドキです。葉の様子もわかります。
あまり起伏のないフラワーロードを歩いて行きます。
カラフトハナシノブの内、花序が詰まったものをレブンハナシノブと言うそうで、、これはレブンハナシノブではないかと思います。
南側に利尻島が見えていました。今日はあいにく山頂のの雲が取れませんでした。36年前にはあの頂にいたんだと感慨にふけっていました。
海へと落ち込む斜面のお花畑です。
猫岩が見えてきました。
今日もレブンコザクラに出会う事ができました。
ほとんど垂直の斜面に咲いていました。
再びサクラソウモドキです。
うなだれたような花序が面白いです。
右側に桃岩と左手奥に元地が見えてきました。
キンポウゲ科レブンキンバイソウも咲き始めていました。
黄色い花弁状のものはがく片で雄しべのように見えるものが花弁です。
蕾も見られました。
クロユリが群生している所がありました。
一茎二花のものです。
花は一茎に1〜3個ほど付くようです。
風もほとんどなく、快適な花見ができます。
歩いていたら何だか嗅いだ事のある香りがしてきて、よく見たらスズランがたくさん生えていました。
エゾノハクサンイチゲもたくさんあって、やや盛りを過ぎていたような感じでした。
シロバナスミレもいくつか見られました。
まだ続きます。サクラソウモドキです。
内部を見た所です。
もう一株。
花弁状の裂片がかなり開いていました。
再びレブンハナシノブではないかと思われる個体です。
5つの黄色い雄しべがアクセントになっています。
北側から見た猫岩です。
レブンハナシノブの群生地です。
桃岩が大きく見えてきました。昔は登れたのだそうですが、今は危険なので登れないそうです。
桃岩展望台の下の崖で見られたレブンソウです。
一日花のエゾカンゾウです。
ちょっと変わった色合いのハクサンチドリがありました。
唇弁が濃い紫色でがく片と側花弁は白でした。
小高い丘の上でヨツバシオガマの変種のレブンシオガマを見る事ができました。ヨツバシオガマより大きく、花の数が多いです。
花もヨツバシオガマより大きいです。
花は輪生して15〜30段見られるようです。
ヨツバシオガマの葉は概ね4つが輪生しますが、レブンシオガマでは6つ見られる事が多いようでした。
平地の草地でキクバクワガタを見る事ができました。
かくして2日目が無事終了。この夜の夕食は生ウニ、刺身、ほやの酢の物、こごみの胡麻和え、ウニの煮物、あわびのステーキ、宗谷牛のローストビーフ、めばるの煮付け、香の物、お吸い物、ご飯、デザートにアイスクリームでした。夕食中にちょうど日没を迎えたのですが、支配人の粋な計らいで夕食を中断して夕焼けを楽しみました。36年ぶりの礼文島はまさに桃源郷でした。