○もどる

6/28/2009

今日は月末になって気温の高い日が続いたので、そろそろ開花し始めた草があるだろうと思って長万部町にある静狩湿原まで行ってきました。この湿原は日本の最南端の高層湿原だそうで、氷河期の終了後大きな潟湖が形成され、厚い泥炭層が長い年月を経て作られ、ミズゴケがその上を覆って出来たのだそうです。1922年には国の天然記念物に指定されたのだそうですが、1939年頃から指定の解除が始まり、開拓されてきたようですが開拓は成功せず、現在は34haのみを残すだけとなり、乾燥化も進行しているようです。

静狩湿原は全くと言ってよいほど観光化されておらず、上の画の案内板の所からほんの少し踏み跡があるだけです。木道はないので、なるべく植生をいためないように注意して進んで行きます。
観察には長靴が必要です。
今日のお出迎えの花はツボスミレの湿地型であるアギスミレでした。

花冠は直径12mmほど。側弁に毛が生えています。

ツボスミレとの相違点は葉がこのようにブーメランのような形になることです。

これもツボスミレの変種のムラサキコマノツメです。花冠の大きさは10mmほど。側弁の毛がわかります。

ミズゴケが厚くなっていた所にラン科トキソウが群落を作っていました。見事!

トキソウの横顔です。花の基部に一つ苞があります。

唇弁の肉質突起が顕著です。

白花に近いものも比較的多く見られました。

湿原内にはこのような池塘がまだたくさん残されていました。

ミツガシワの葉にとまっていたイトトンボの仲間。エゾイトトンボの雄のようです。

今日は私以外には訪れる人もなく、静かな時間が流れていきます。

今日のお楽しみはもしかしたら見られるかなと思っていたラン科のサワランという草丈15cmほどの草です。

花はとても鮮やかなピンク色をしています。このためアサヒランという別名もあります。花の基部には苞はありません。

正面観です。少しうつむきぎみに咲きます。

唇弁中央は白くなっていて中央が膨らんでいます。

斜め上から見た所です。側弁がまだ完全には開いていませんでしたが見ることが出来て本当に良かったです。将来的にもぜひとも残ってほしいものです。

ツルコケモモもあちこちで見られましたが盛りは過ぎていたようです。

花冠は4つに深く裂けて、裂片は外側に大きく反り返ります。

本日の大穴は食虫植物のタヌキモ科コタヌキモです。水中に尾状の植物体が見られ、高さ8cmほどの花軸を伸ばして先端に花を付けます。

花は2唇形で直径12mmほど。

側面観です。大小2つの花弁が見られ、前方に長い距を伸ばします。

こちらはタヌキモ科タヌキモだと思われます。ごく短い距が見られます。

花の直径は15mmほど。

スイレン科ヒツジグサも開花していました。

花は直径4cmほど。

アヤメ科カキツバタが局所的に群生していました。

これは湿原の草ではないですが、道端に見られたナデシコ科オオバナノミミナグサという草丈50cmほどのものです。

花は直径15mmほどで5枚の花弁からなり、先端がやや深く切れ込みます。

葉は対生して長さ1〜5cmほど。全体に細かい毛が見られました。
今日は予想以上の収穫があって大喜びなのでした。

ユリ科エゾキスゲも少し見られました。

inserted by FC2 system