8/5/2012
今日は天気予報では降水量はそれほどでもなさそうですが、あいにく雨の予報。でもそろそろ時期を迎えているであろうラン科トラキチランを探しに遠征です。現地に着いてみると天気はやはり雨。加えて森の中は薄暗く、探し出すのが難しそうでしたが、何とか無事開花株を発見して大喜びなのでした。
トラキチランは葉緑体を持たない腐生ランで菌類を介して栄養分を取り入れているようです。
草丈は10cmほど。大きなものでは20cmほどにもなるようです。
私がこのランの事を知ったのは今から9年くらい前で、その当時の図鑑には載っていませんでしたが、とても気になる存在で、いつか見たいものだと思っていましたが、ようやくその願いが叶いました。
花は茎の先端の方に1〜数個付いて、大きさは2cmくらいです。
側面から見た所です。このランは普通のランと異なり、花が上下さかさまに付いています。通常は下にある唇弁が上向きに付いていて、その後ろに長さ7mmほどの袋状の距が見られ、そのさらに後方に薄茶色の子房が見られます。
側面観のアップです。一番前方の唇弁のふちにはひだが見られます。子房には紫色のすじが見られます。花の上には苞葉だと思われる鱗片状のものがあります。
右斜め前方から見た所です。舟形の唇弁の様子がわかります。唇弁基部には左右に張り出した突起が見られます。
正面観です。唇弁には紫色の斑点がみられます。トラキチランの名前の由来は植物学者の牧野富太郎博士の案内役だった神山虎吉さんという方が日本で初めて発見したため、その名前をとって付けられたそうです。
トラキチランを見つけたらぜひとも撮りたかったアングルでの一枚です。左右に伸びた側がく片、その下に2枚のやや幅が広い側花弁、中央下に背がく片、そして上部に伸びた唇弁、中央に薄黄色の蕊柱が見られます。蕊柱中央はやや茶色っぽくなっていました。雨が降っていて、おまけに薄暗くて撮影には苦労しましたが、何とか納得できる画が撮れました。
右斜め上から見た所です。がく片と側花弁の様子がよくわかります。
真上から見た所です。
右斜めかなり上から見た所です。唇弁の後ろの距と茶色の子房が見えます。
右斜め横から見た所です。茎はこの個体では薄紫色で、薄茶色の膜状の鱗片葉が2枚見られました。
同じようなアングルですが、この花の特徴がよくわかると思います。
右斜め前から見た全体像です。基部にもう一つ芽が出ていました。
この花を観察するにあたっては先月の気温の傾向と降水量を参考にしました。北海道での開花時期は7月中旬〜9月中旬と、かなり幅があり、多年草ではあるのですが、気候によっては開花時期が前後する事があるのではないかと思います。
これもまた同じような画ですが、花の下の鱗片葉がわかります。
右斜め前から見た所です。鱗片葉は極めて薄かったです。
唇弁のクローズアップです。細かな突起が線状に並んで見られ、薄紫色になっています。中央部分はややくぼんでいるようです。
一茎二花の個体(右)と一茎四花の個体です。
一茎二花のものの側面観です。ちょっとうつむき加減で咲いていました。
一茎四花のものの側面観です。あまり密生してしまうと細部の様子をうかがい知るのが難しくなります。
結局この日は三株のトラキチランの開花を確認できました。最後にもう一度正面観を一枚。この花に出会えたのはこれもまた奇跡に近いと思います。
もう一度右斜め前方から一枚。花の寿命はあまり長くはないようでしたが、フレッシュな花に出会えて感動した一日でした。